網膜硝子体手術
網膜硝子体手術について
硝子体とは
硝子体は、水晶体より奥にある眼球の大半を占める透明なゼリー状の組織で、眼球の形を保ち、中に入る光を屈折させる役目をしています。
硝子体が様々な原因で網膜を引っ張ったり、炎症を持続させたり、濁ったり、出血することによって目の障害を引き起こします。
網膜硝子体手術はどんな手術?
病気によって硝子体が網膜を引っ張ったり、癒着したり、炎症や出血などにより混濁したりすることによって視力に障害を及ぼします。網膜硝子体手術は、病気の進行を止め、視力を回復させるために硝子体を取り除く手術です。
眼科手術の中では、難易度の高い手術の一つです。近年、手術機器、材料、薬剤、手術の技術などの進歩によって、以前は難治といわれていた網膜硝子体に関する多くの病気が手術で治療できるようになりました。当院では網膜硝子体手術を日帰りでご提供しています。
1:局所麻酔
網膜硝子体手術は局所麻酔で行われます。
点眼麻酔の後、顕微鏡下で注射の麻酔を追加します。
2:白内障同時手術(行わない場合もあります)
網膜硝子体手術を確実に行うために、白内障手術と眼内レンズ挿入術を同時に行うこともあります。
3:ポート作成
角膜の横に手術機器を挿入するための小さな入り口をつくります。 (3~4か所)
この入り口から機器を挿入し、下記の処置・治療を行います。
•術中に眼球の形態を保つための灌流液を入れる
•眼内を照らす照明や内視鏡を入れる
•硝子体を切除するカッターや眼内でレーザー治療をおこなう機械を入れる
4:硝子体切除術
最初に硝子体を切除します。
その後に手術の目的(疾患)により異なりますが、網膜の処置を行います。
5:眼内に灌流液を満たす
網膜の処置が終わると切除した硝子体のかわりに眼内を灌流液で満たして手術が終わります。
疾患によっては内側から網膜を押さえるために眼内に空気や特別なガス、シリコンオイルを入れる場合があります。その場合は術後、うつむき姿勢での安静が必要になりますので、医師やスタッフの指示に従うようにしてください。
硝子体の代わりに注入された灌流液、空気やガスなどは、自然に眼内で作られる液体に置き換わります。
シリコンオイルは自然吸収されないため、3~6ヵ月後に除去手術を行います。
網膜硝子体手術によって改善が期待できる疾患
硝子体が濁っている
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硝子体出血
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硝子体混濁
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星状硝子体症
黄斑部に穴があく
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黄斑円孔
その他
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水晶体脱臼
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眼内異物
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網膜分離症
増殖膜が視力を下げている
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網膜前膜
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硝子体網膜牽引症候群
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増殖糖尿病網膜症
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増殖性硝子体網膜症
黄斑部浮腫で視力が下がる
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糖尿病黄斑浮腫
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網膜静脈分枝閉塞症
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網膜中心静脈閉塞症
手術機器について
網膜硝子体手術は、眼球の白目の部分に極めて小さな穴(0.5㎜ほど)を3~4箇所開けておこなう手術方法です。傷口が非常に小さいので無縫合で手術を終わることができ、回復が早く、術後の眼の違和感や炎症を従来の手術よりも大幅に軽減することができます。
当院では大学病院や総合病院に並ぶ最新の医療設備を整え、安全な日帰り網膜硝子体手術を行っています。
網膜硝子体手術 よくある質問
Q.白内障の同時手術は可能ですか?
網膜硝子体手術によって白内障が進行する場合があります。また、白内障手術を同時に行うことで網膜硝子体手術が安全、確実にできるというメリットもあります。
このような理由より、ほとんどの症例で網膜硝子体手術と白内障手術を同時に行っています。
Q.糖尿病網膜症はレーザー治療?網膜硝子体手術?
糖尿病網膜症の進行度を検査によって確認し、治療方針を決めていくことになります。
糖尿病網膜症の初期で、出血が自然に吸収されるものや、新生血管の増殖が停止して視力障害が進行しない場合には、手術をせずにすむこともあります。レーザー治療が行われていない方はまずはレーザー治療を行います。進行した糖尿病網膜症には、網膜硝子体手術を行います。
Q.眼の中に気体を入れると聞きました。
網膜のしわを伸ばす、網膜裂孔を閉鎖させる、網膜復位を得る、黄斑円孔を閉鎖させる、などを目的として目の中に気体を入れます。そのため網膜硝子体手術後は、仰向けで寝てはいけない、飛行機に乗れないなどの制限があります。